藍 画 廊


佐藤梨香展
[勉強する棒人間]
SATOH Rika

佐藤梨香展の展示風景です。



画廊入口から見て、正面の壁面です。
左から、作品タイトル「サクランボの部屋」で、65.2(W)×53(H)×1.5(D)cm(F15)、
「サクランボ、教室 -1」で、53×45.5×1.5cm(F10)、
「サクランボ、教室 -2」で、53×45.5×1.5cm(F10)です。



右側と入口横右の壁面です。
左から、「リボン、教室 -1」で、91×72.7×3cm(F30)、
「リボン、教室 -2」で、91×72.7×3cm(F30)、
「サクランボ、家 -1」で、41×31.8×1.5cm(F6)、
「サクランボ、家 -2」で、41×31.8×1.5cm(F6)です。



左の壁面です。
左から、「サクランボ、家 -3」で、41×31.8×1.5cm(F6)、
「フルーツバスケット、フルーツバスケット」で、91×116.7×3cm(F50)、
「サクランボ、教室 -3」で、53×45.5×1.5cm(F10)です。

以上の十点が画廊内の展示で、その他道路側ウィンドウに一点、芳名帳スペースに七点の展示があります。
作品は、キャンバス、油絵具、パール顔料、蜜蝋を使用しています。



左壁面の「フルーツバスケット、フルーツバスケット」です。
赤暗色の画面の中央に並んだ、二つのフルーツバスケット。
大胆にデフォルメされていて、二つのイチゴのかき氷のようにも見えます。
テーブルの上には、バスケットからこぼれ落ちたようなサクランボ。
よ〜く見ると、画面の左右には裸体のオバさんらしき姿も・・・・・。




正面壁面の「サクランボの部屋」です。
部屋の隅に、「フルーツバスケット、フルーツバスケット」で登場した裸体のオバさんが座っています。
ヨチヨチはいずり回っていのは幼児で、大きなサクランボが画面を覆っています。
怪奇な絵ですが、どこかユーモラスで、その合体具合がいつもの「佐藤梨香さん」です。



同じく正面壁面の「サクランボ、教室 -2」です。
本展のサブタイトルになっている[勉強する棒人間]シリーズの一点です。
棒のように描かれた人間が、机に向かって勉強しています。
空中(?)には、お馴染の大きなサクランボ。



右壁面の「リボン、教室 -2」です。
教室では、影絵のような、前に倣えをしている生徒と机で勉強している生徒がいます。
画面の前面には、立体感の薄れた、パターンの生徒とリボンが。
奥のドアからは強烈な光が漏れていて、(何となく)ドラマティック。
これも、「佐藤梨香さん」です。



入口横右壁面の「サクランボ、家 -2」と、芳名帳スペースの「おっぱいのある部屋 -3」(33×19×1.5cm)です。
他の絵より彩度とコントラストが下がった「サクランボ、家 -2」で、「サクランボ、家 -1」と対になっています。
ポジに対するネガのような表現で、面白い。
モチーフは題名通り、サクランボと(藁で出来たような)家です。

右の「おっぱいのある部屋 -3」は、巨大なおっぱいから出る母乳に、逃げ惑う幼児でしょうか。
怪奇ですが、幼児の姿がユーモラスです。
赤の絵画に混じった、青の画面も新鮮です、



佐藤さんの今回の展示を見ていると、記憶というものを思い浮かべます。
実際に記憶を基に描いているのかどうなのか分かりませんが、わたし自身の記憶を刺激します。
遠い昔の小学校の教室。
あるいは、校庭で整列した時の様子。

その記憶が、奇妙な形で入り交じった夢を見る時があります。
時代や空間が錯綜していて、整合性がないのに、なぜかリアルな夢。
そこで感じた不安や悲しみや喜びは、醒めた後もあとを引きます。
自分が無理やり押さえつけた感情が、夢の世界で蘇り、その邂逅に戸惑います。

唐突ですが、「人間とは何か」という問題があります。
これは大問題で、人間を五十年以上やっているわたしにも、よく理解出来ません。
やっているから解らないので、止めたら解るかもしれませんが、人間でなくなったら問題の意味がなくなってしまいます。
そういう厄介な問題です。

どうも、「佐藤梨香さん」の絵画は、その問題にストレートに対峙しているような気がします。
「答えが出るかどうか解らないけど、わたしは直球で勝負しますよ!」。
そう宣言して、その通りに豪速球を投げているような、気がします。
球筋は荒れていますが、そんなことはお構いなし。
小細工を弄さず、「人間とは何か」をひたすら投げ続けている。

そんな「佐藤梨香さん」の豪速球には、どこか愛嬌があります。
どうしてでしょうか。
それは、「佐藤梨香さん」が人間を愛しているからです。
人間を憎んで、愛しているからです。
その愛し方に、愛嬌があるんですね。
そうですよね、「佐藤梨香さん」。

ご高覧よろしくお願い致します。


2003年藍画廊「大胆不敵」展
2005年藍画廊個展
2007年藍画廊個展

作家Webサイト



会期

2008年3月17日(月)ー22日(土)

20日(祝日)も開廊

11:30amー7:00pm(最終日6:00pm)