吉野涼子展の展示風景です。
絵画作品の展示で、画廊内に九点、道路側ウィンドウに一点、芳名帳スペースに一点の展示です。
各壁面ごとの展示をご覧いただきます。
画廊入口から見て、正面と右側の壁面です。
左から、作品タイトル「 オレンジ色の花 」で、作品サイズはF80 (145.5×112)、
「 休息 」で、F4 (33.5×24)です。
入口横右の壁面です。
左から、「 みどり色の果実 」で、F10 (53×45.5)、
「 untitled 」で、F4 (33.5×24)、
「 弱い存在 」で、F4 (33.5×24)、
「 はなが咲くように 」で、F8 (45.5×38)、
「 チューリップ 」で、F6 (41×32)です。
左側の壁面です。
左から、「 やわらかい人 」で、F80 (145.5×112)、
「 赤いライオン 」で、F6 (41×32)です。
単位:(H)×(W) cm / 素材:キャンバス・油彩
左壁面の「 やわらかい人 」です。
女性のポートレイトですね。
表情や姿が、とても自然です。
「 やわらかい人 」とは、生きる姿勢が柔軟な人かもしれません。
同じく左壁面の「 赤いライオン 」です。
ネコかと思いましたが、ライオンでした。
ライオンの背景の赤が、画面を決定しています。
正面壁面の「 オレンジ色の花 」です。
「 やわらかい人 」が女性なら、こちらは花のポートレイトです。
同じ印象を受けるのは、花も自然で、「やわらかい」からでしょう。
小品ですが、展示のポイントになっている、右壁面の「 休息 」です。
吉野さんの資質が最も表れている作品だと、思います。
個人的にも、一番好きな作品です。
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入口横右壁面からピックアップした三点です。
左は「 untitled 」ですが、カレンダーを思わせるような、楽しい絵柄です。
中央は「 弱い存在 」で、弱々しい存在に対して、慈しみが溢れています。
こういう感性は、とても大切だと思います。
右は「 チューリップ 」で、キリッとしていて、しかもユルさのある作品。
天の花びら切れた構図が、画面に締まりと余韻を与えています。
吉野さんはライオンも描いていますが、基本は弱い存在がモチーフです。
弱い存在の、弱さを美しく描いています。
弱い存在を描いても、絵に弱さはありません。
絵は、自立しています。
吉野さんの描く弱さとは、取るに足らないと思われている存在です。
その存在は、強さが善の世界では、確かに取るに足りません。
しかし、強さとは意外に脆いもので、躓(つまず)けばあっという間に、弱さに変換されてしまいます。
その時、(取るに足らないと思っていた)弱い存在の放っている光に、気が付きます。
その光が、実は、世界を照らしていたことに気が付きます。
ご高覧よろしくお願いいたします。
2006年藍画廊個展