藍 画 廊



浜田涼展
Vacant garden
HAMADA Ryo


浜田涼展の展示風景です。



画廊入口から見て、正面と右側の壁面です。
左から、作品タイトル「
Vacant garden - 02」で、作品サイズ53.0(H)×80.3(W)×2.8(D)cm、
「Vacant garden - 01」で、53.0×80.3×2.8cm、
「Vacant garden - 06」で、33.3×53.0×2.8cm、
「Vacant garden - 07」で、33.3×53.0×2.8cmです。



入口横右の壁面です。
左から、「Vacant garden - 13」で、33.3×53.0×2.8cm、
「Vacant garden - 08」で、33.3×53.0×2.8cmです。



左側の壁面です。
左から、「Vacant garden - 03」で、33.3×53.0×2.8cm、
「Vacant garden - 04」で、33.3×53.0×2.8cm、
「Vacant garden - 05」で、33.3×53.0×2.8cmです。

以上の九点が画廊内の展示で、その他道路側ウインドウに二点、芳名帳スペースに二点の展示があります。
作品はすべて、デジタル画像をインクジェットプリント、アクリルでマウントしたものです。



左壁面の三点です。
ピントを外して撮影した風景。
いつもの、浜田さんの手法です。
壁面ごとにサイズ、縦横を揃えた展示はとても見やすく、すんなりと作品世界に入っていけます。



左壁面中央の作品です。
家、の形に見えますね。
モノとモノの境が曖昧になり、風景には中心がありません。
というより、カメラのピントを外していって、中心がなくなる寸前の風景かもしれません。
風景が溶解し始めた地点の画像、ともいえます。



正面壁面の作品です。
微かに風景と分かる程度に、境目は溶解しています。
浜田さんに尋ねた所、ご自身でも撮影地を憶えていないそうです。
初期の浜田さんの作品を彷彿させる、色と形の作品です。



右壁面の作品です。
手前の二つの形は人物でしょうか。
いずれにしても、日常のありふれた風景には違いありません。
風景の一つ一つが、(見る者によって)差別化されるかどうかの瀬戸際の、風景です。
風景は、限りなく等価になりつつあります。



入口横右壁面の作品です。
室内、のようです。
角の両側の窓から光が差し込んでいるのが、分かります。
横長の画面がクラシカルな構図を生んでいます。


風景とは、具体的な一つ一つのモノから成り立っています。
カメラのピントを徐々に外していくと、具体はゆっくりと抽象に変化していいきます。
純粋な色と形に、変化していきます。
浜田さんの作品は、ギリギリ具体を残して、つまり風景の体裁が壊れないところでシャッターを切っています。
ある意味で、風景の限界を捉えています。

わたしは近眼で、眼鏡をかけています。
眼鏡を外すと風景はボケボケで、丁度浜田さんの作品のように映ります。
そこで困るのは、思考が停止してしまうことです。
モノに焦点が合わず、通常の思考回路が止まってしまうのです。

それこそ、浜田さんの狙いかもしれません。
思考を停止させる。
ギリギリ具体を残して、思考を混乱させる。
いつも見ているものが写っていても、気が付かない。
あるいは、未知の風景なのに、あたかも既知の風景のように見える。

その混乱から導かれるのは、記憶の問題です。
記憶の曖昧さであり、記憶の不可思議さです。
もっと突っ込めば、風景とは記憶による視覚現象なのかもしれない、という問いです。

その問いを成立させるためには、極力ニュートラルな方法論を採る必要があります。
ありふれた日常の、ありふれた風景を、ありふれたカメラとレンズで、無作為に撮る。
そのような方法ですね。
しかし、もしわたしがそのような方法で撮影したとしても、このような美しい作品は作れません。
(プリントアウト後の処理は作品の重要な要素ですが、問題を明確にする為にあえて無視します。)

画廊に展示された作品は、喩えようもないくらい美しい。
どこをどうしたら、ありふれた日常風景がこのように美しくなるのか。
浜田さんに尋ねたとしても、多分、答えられないでしょう。
だとしたら、自分で考えるしかありません。

極力ニュートラな方法を採っても残るものは何か。
それはいうまでもなく、個性です。
その人をその人と区別する、何かです。
個性を発揮するのが芸術といわれていますが、個性を排した後に残るのも、個性です。
その個性こそ、誤魔化しの効かないその人です。
自然に露出する個性です。

ギリギリの(風景の)具体と、ギリギリの個性。
この二つが重なって、作品はわたしたちの眼の前にあります。
そこで必要なのは、再び思考することです。
立ち止まり、混乱した頭を解きほぐして、見ることです。

ご高覧よろしくお願いいたします。

浜田涼藍画廊2001年個展
浜田涼藍画廊2002年個展
浜田涼藍画廊2003年個展
浜田涼藍画廊2004年個展
浜田涼藍画廊2006年個展

作家Webサイト



会期

2007年7月30日(月)-8月4日(土)

11:30am-7:00pm(最終日6:00pm)


会場案内




同時開催

「忘却録」
7月26日(木)〜8月15日(水)
アート・バイ・ゼロックス ギャラリー
東京都港区六本木6-15-21 ハークス六本木ビル1F
11:00〜19:00(日・月曜休館)
http://www.fujixerox.co.jp/company/event/abx/gallery.html