BACK→CONTENTS



藍 画 廊

 


石橋和典展
『見続ける』イメージ・・・
〜絵の中の彫刻〜


石橋和典くんの1年ぶりの個展が開催中です。
前回同様、黄色を基調にした平面作品の展示となっています。



展示風景です。
全六点、全て綿布にアクリル絵具です。

画廊入口から入って左側壁面の「昔からある彫刻」と題された作品(90.5×90.5cm)。
石橋くんは、「黄色」に非現実的発色を感じるそうです。
「黄色」を使うと、それは“色”なのか“光”なのかどちらともいえない独特の空間が生まれるからだそうです。
又、「絵」はそれ自身の存在自体が曖昧なものだと思っているので、特に「黄色」にはその捕らえどころのなさ故に絵画性を感じるそうです。


画廊に置かれたファイルの中に彼自身が書いたテキストがあります。
制作方法が記されていましたので紹介いたします。

初めに生の綿布を木枠に張らず描き始めます。
描き終わったら、描いていない方を前面にして木枠に張ります。
そしてそこから又描き始めます。
そうすると生の綿布を使っているために、その表面に絵具をしみ込ませていくと、もう一方の面で描いたカタチが滲んで現れます。
しかし、それはそれ以前に描いたカタチとは微妙に変化し、時間をかけてゆっくりと現れます。
時間と反転によるカタチの変化が介入し、それは確かに自分が描いたのにそう思えないカタチになります。
その空間を前にして改めて描き始めます。


面白いですね。
「わたしの絵画には二つのオモテが存在します。」
確かに、そうですね。
下の画像は展示風景の真中の作品を作品サイズ(実際のサイズは90.5×90.5cm)にトリミングしたものです。
じっくりご覧になって下さい。
タイトルは「長い付き合い」。



大きく分けると、赤い部分が最初に描かれ、木枠に張られてから黄色が描かれています。
赤い部分は反転したカタチになります。

テキストには絵画にたいする石橋くんの考えも記されています。

絵画空間は非現実的なものです。
それが、物理的に木枠に張られたり、壁に掛けられる等の現実性に支えられる面白さ、それはあるモノが別な次元のモノに支えられて存在するという在り方です。
描かれた内容より、そこに絵画のリアリティーを感じます。
その在り方を通して、『現代において一つの次元だけに身を置くことの難しくなった私達の在り方』を画面に表現するかを考えています。


石橋くんの作品の面白さは、その制作方法と絵画にたいする考え方にあります。
考え方がキチンと作品になっています。
決して「頭でっかち」にはなっていません。

あえて、描かれた内容に触れれば「楽しい絵」だと思います。
じっと見ていると楽しくなる絵です。
これも大切なことです。
その楽しさは、方法や考え方と一体になっていることも又事実です。


この作品(90.5×72.5cm)は展示風景の右端に写っているものです。
タイトルは「よく見る夢」。
この作品だけ雰囲気が違います。
黄色もレモンイエローに近い色で、下地のグリーンを強く感じます。
この作品が今後どう展開されていくのか、楽しみです。

他に画廊内に一点、通路側ウインドウに一点展示されています。

御高覧よろしくお願いいたします。


会期

2001年6月18日(月)-6月23日(土)

11:30am-7:00pm(最終日6:00pm)



会場案内



BACK→CONTENTS