藍 画 廊



イマヒコ展
IMAHIKO


イマヒコ展の展示風景です。



画廊入口方向から見た展示全景です。
(画像では全体の色相がベージュに見えますが、実際はもう少しホワイトに近い感じです。)
タイトルは『Feeling of teeth ー「は」のきもちー』。
天井から吊り下げられているのは、磁土で制作された「は=歯」です。



右側壁面方向から見た展示です。
画廊内に作家が記したテキストが貼付されていますので、全文掲載いたします。


Feeling of Teeth

「は」のきもち

現在イギリスのコンウォール州にて制作活動を行っています。東京という大都会の中で育った私には、大自然の織り成す有機的なフォルムは、鮮烈なインスピレーションを与えてくれます。特に日本の田園風景にはない、コーンウォール特有の雄大な緑の連なった丘、低い真っ青な空に映える多層の雲は、改めて人間が自然の一部である事を認識させてくれます。

その人間自身の内側にも自然なフォルムは存在します。祖父が他界したとき、当時七歳の私は、お葬式で初めて人間の骨というものを目の当たりにし、「骨あげ」と呼ばれる日本の埋葬儀式にのっとって、竹のお箸で祖父の遺骨を拾い上げました。この日本文化特有の経験は、私に人間の骨や肉体のもつ有機的かつ透過的なフォルムに対して強い興味を抱かせることになりました。

セラミックアーティストとして、オーガニックなフォルムやシルエットにインスピレーションを感じたものを、セラミックという素材を用いて表現しています。土と火との格闘の結果から生まれる多様性に可能性を見出しながら、実際の技巧的制限の中でどこまでファインアートよりの仕事ができるか追及することが私の制作活動のテーマです。またセラミックという素材の持つ、手にとったときの温感や触感、微かに奏でる音色など、他の素材にない特徴を生かした作品は、陶芸文化の中で育った日本人としてのアイデンティティの体現と考えています。

本作品は「歯の気持ち」をテーマにしたセラミックインスタレーションアート(創造の空間芸術)です。私自身が生来の歯を何本か失っており、その失った歯へのオマージュ(賛歌)の意味も含められています。一方で人工の歯に対しても恩恵をあやかっているという強い意識から、Rebirth(再誕生)というプロセスに対する尊敬の念を表現しています。歯の持ち主が気づかないその美しいフォルムをモチーフにした創造空間において、白を基調としながも作品表面の独特な釉薬が周囲を微妙に映し出します。今回は隠された歯の根の部分も含めてそのフォルムを最大限に知覚できるように、モビールという制作手法を用いています。


「歯」と「骨」。
火葬されると残るこの二つモノは、わたしも印象に残っています。
又、歯医者で抜かれた歯の存在も奇妙です。
わたしの肉体の一部であったものが、突然わたしとは無縁になって、金属の皿に転がっている。
そんな不可思議な経験。

歯は口の中に隠されていますが、笑ったときの一瞬の輝きは、どんな言葉や表情より雄弁です。
うつむいて爪を噛む歯も、優れた表現者です。
口惜しくて、口惜しくて、歯ぎしりしてしまうわたし達。
「は」にもきもちが、あるんですね。


作品のクローズアップです。
先が二股に別れる、奥歯ですね。

許可を得て、磁土で作られた作品に触ってみると、温度があります。
土は太陽に熱せられると、その温かさを吸収します。
それと同じように、作品は周囲の温度と同期したかのような温かさを持っています。

「は」を軽く叩くと、磁土特有の爽やかな音がします。
身体に共鳴するような、音色です。


道路側ウィンドウの作品です。




上の画像は展示の部分で、全部で七点の展示があります。
(ガラス越しの撮影ですので、風景が映り込んでいます。)

全体のタイトルは「
Teeth show」で、陶土の作品です。
同じ「は」をモチーフにしていますが、画廊内展示とは大きさも色彩も異なります。
その対比も、興味深い展覧会です。
画廊で、「は」のきもちを感じて下さい。

ご高覧よろしくお願いいたします。



会期


2005年4月11日(月)-4月16日(土)


11:30am-7:00pm(最終日6:00pm)


会場案内