井川淳子展の展示風景です。
本展は画廊の照明を通常よりも落として展示しています。
その為、画廊に入ると幾分暗い感じがします。
全体の展示風景の画像はその雰囲気に合わせて、いつもよりアンダーになっています。
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画廊入口から見て、正面と右側の壁面です。 |
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右側の壁面です。 左の作品は上の画像の一番右です。 |
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左側の壁面です。 展示は以上の写真作品五点で、すべてゼラチン・シルバープリント。 サイズもすべて、 40.6(H)×50.8(W)cmです。 |
ほの暗い画廊に展示された五点の写真作品。
漆黒の画面に仄かに見える被写体。
何が写っているのでしょうか。
撮影のために、照明を少し明るくして撮ってみました。
正面の壁面の右側の作品です。
一本の針、が写っています。
縫い針でしょうか。
画面の中ほど、縦に、中空に浮かんだように一本の針が。
針が金属であったのを、改めて認識させるような針の輝きです。
左側の壁面の作品です。
杯ですね。
金属製のクラシカル(古典的)な杯です。
時代を経た、鈍い輝きと造型がそこに存在しています。
右側の壁面の左の作品です。
さて、この被写体がお分りになりますか。
星。
違います。
先ほどの針が、多数等間隔に並べられたものです。
強く光っているのは針のアタマの部分です。
背景が黒い布なのか紙なのか分りませんが、それは黒ではなくて闇に見えます。
漆黒の闇です。
針と杯、両者が金属であることを除けば意外な組み合せです。
これらの作品が優れているのは、その過剰ともいえる道具立てにもかかわらず、そこに雰囲気やドラマがないことです。
あるのは、「ここよ、今、いつでも」。
つまり、言葉をかえれば現実であり、世界ではないでしょうか。
これらの作品で、わたしが観たもの。
それは「光」です。
縫い針に投射されて反射した光。
杯に吸収、反射した光。
そして、その美しい光の表情(世界と現実)を見せるために周到に、入念に選ばれたのが針と杯だった。
感性と力と技術のある、作品です。
ご高覧よろしくお願いいたします。
2000年西瓜塘個展のご案内